OLLIE
特に深い理由はないけれど、少し前にスケートボードを始めた。
スケートボードをやってみて、このスポーツはただ板に乗るだけではなく、いろんな技があることを知った。
中でも、初心者がまず練習をする基本中の基本がオーリー。
技の名前からは全く想像できないが、板を弾いて飛び上がる、とてもシンプルな技だ。
初心者の僕は、ジャンプをする時、跳び上がるその直前まで地面を見てしまう。
どこに向かっているのか、
何を飛び越えようとしているのか、
何もわからないまま、不安定にぐらつく板の上にいる。
自分はどこに向かっているのだろうか。
何を飛び越えようとしているのだろうか。
バランスをとることに精一杯で、そんなこともわからない。
随分長い間、板の上でただゆられていることに気づき、慌ててテールを蹴り、飛び上がろうとする。
そうやって試みたジャンプは、大抵は的外れな方向に飛んだり、殆ど飛び上がれないままだ。
ようやく、前を見なけれな飛べないことに気付いた。
何を飛ぶのかわからないままでは何も飛べないことに気が付いた。
でも、やっぱり気づいてもすぐには飛べない。
気づくのが遅すぎでないことを、祈る。