みちすがら

寄り道、近道、回り道

わたしはどこへ向かうのか

僕は今、僕の寝床に向かって歩いている

毎日寝て、起きて、食べる場所に向かって歩いている

僕が生きる場所に歩いている

でも、僕の「生きる」はどこへ向かっているのだろうか

 

僕は、スケッチブックのざらざらとした質感が好きだ

僕は、鉛筆の芯の炭素のにおいが好きだ

僕は、鉛筆が身を削って線を描くときの叫びが好きだ

 

僕は、ギターが僕の代わりに唄うその歌声が好きだ

僕は、指の先に弦が刻んだくぼみが好きだ

僕は、僕の手の中で曲が生まれるその瞬間が好きだ

 

僕は、文字が放つインクのにおいが好きだ

僕は、ページをめくるときに本が僕に語りかけるその声が好きだ

僕は、本と二人だけの秘密の会話が好きだ

 

僕は、マシーンの鳴らす騒々しい音が好きだ

僕は、ダンベルを床に置く瞬間にゆったりと流れる時間が好きだ

僕は、がんばった次の日のからだ中の痛みが好きだ

 

僕の好きなものの点と点はバラバラで、全然線になってくれない

今日は右に、明日は左に、僕はでたらめに足を進める

僕はどこかにたどり着けるだろうか